« 国内電機の2013年度第1四半期決算と通期予想、ソニー、パナソニック、三菱電機、シャープ | トップページ | 書籍 ネットからリアルへ O2O(オー・トゥー・オー)の衝撃/岩田昭男(著) »

2013/08/21

書籍 人を動かす、新たな3原則 売らないセールスで、誰もが成功する!/ダニエル・ピンク(著)

人を動かす、新たな3原則 売らないセールスで、誰もが成功する!

TO SELL IS HUMAN
The Surprising Truth about Moving Others

ダニエル・ピンク(著)、神田 昌典(翻訳)
出版社:講談社(2013/7/4)
Amazon.co.jp:人を動かす、新たな3原則

 

201307103

売らないセールスで、誰もが成功する!

営業に携わるすべての人に、営業に関わらないすべての人へ

自らのセールス力を解き放つ、売らない売り込みの極意!

 

 

本書は、『モチベーション3.0』『ハイコンセプト』の著者であるダニエル・ピンク氏が、「心から人を動かす」原則について、そのための能力やテクニックについて、多くの事例や理論及び調査結果を紹介しながら詳しく解説した一冊です。

商品やサービスを実際に販売するだけがセールスではなく、現代人は「他人を動かして影響を与える」ことに多くの時間を費やしており、「誰もがセールスパーソンである」「人間の本質はセールスである」という本質から掘り下げています。

販売を業としてしる方々だけでなく、全ての方々にとって多くの気づきを得ることができる一冊です。

本書のテーマはセールスだ。

だが、あなたがこれまでに読んだ(あるいは無視した)どんなセールス本とも異なる。
自動車販売でもミーティングでアイデアを売り込むことでも、売るという行為が、過去100年の間よりもこの10年に大きな変貌を遂げたからだ。

ところが、セールスに関する一般的認識の大半は、崩れかけた前提のうえに築かれている。

 

本書は3部で構成されており、特に第2部と第3部の各章末では、ツールやヒント、評価法、チェッククリスト、推薦書籍などがまとめらていますので、本書の内容の再確認やアイデアを実行に移す際に非常に役立ちます。

  • ・第1部では、現代のセールスについて、再考が大幅に必要な論拠を示しています。
  • ・第2部では、最前線の社会科学の研究成果をあげながら、「人を動かす」うえで有益な3つの特質「新たなABC」を明らかにしています。
  • ・第3部では、人を動かすために重要な能力について紹介しています。

 

また、翻訳を担当された神田昌典氏の解説にもありますが、実践的哲学と哲学的実践を学べる書籍です。

  • ・「安定こそ成功」と考える日本社会に対する強烈なアンチテーゼであり、
  • ・会社名や肩書が全く意味を持たなくなる時代、個人の評価のみが社会的安定の土台となっていく時代になる。

    その時には、自分の内にある才能を外へ活かして、自分自身が社会の安定になることが求めれる。

 

現代のセールスについて再考が大幅に必要な論拠

現代のデジタル世界においても、アメリカでは労働人口の9人に1人は販売仕事で生計を立てている。
他の8人も、相手を説き伏せ、納得させ、働きかけるなど、「売らない売り込み」に従事しているし、仕事時間の40%以上が「人を動かす」ことにあてている。

職場の変容を理解するカギは、アントレプレナーシップ、弾力性、教育、医療にもあり、ほとんどのスキルに「通常のセールス」と「売らない売り込み」が含まれるようになる。

今や「買い主は気をつけよ(買い手危険負担)」から「売り手は気をつけよ(売り手危険負担)」の世界に変化しており、今を生き延びるためには誠実で公平な態度や透明性が必要になる。

 

人を動かすうえで有益な3つの特質「新たなABC」

これまでのABC:「Always Be Closing(必ずまとめろ契約を)」

新たなABC:同調(Attunement)、浮揚力(Buoyancy)、明確性(Clarity)

 

同調(Attunement)

自分の行為と見解を、他の人とも自分自身が置かれた状況とも、調和を図る能力

原則

  • 説得の柔術:自分が相手よりも低い立場にいると最初から想定して、人と向き合う。
  • ・他人に関してだけでなく、相互関係や他者との結びつきに関しても、視点取得力を訓練する。
    →社会的地図製作法(状況判断能力):人々の相関関係を頭に描く能力
  • ・認知力を働かせるだけでなく、肉体的要素も含まれている。
    →カメレオン効果、戦略的模倣(観察する、待つ、控える)

 

浮揚力(Buoyancy)

門前払い、拒否、否定と戦うことになるが、その際に精神的強靭さと楽観的見通しを併せ持つ能力

スキル

  • ・人を動かそうとする前:疑問文形式のセルフトーク
    「この人たちの心を動かすことができるだろうか」と自らに訊ねる。
  • ・動かそうとしている時:ポジティピティ比
    ポジティブな感情とネガティブな感情のバランスを3対1に保つ。
  • ・動かそうとした後:説明スタイル
    悲観的な説明スタイルではなく、楽観的な説明スタイル(柔軟な楽観主義)

自分の説明スタイルを調整する

  • 悪いことが起こった時、自らに質問を投げかけて、それぞれに「ノー」と言える賢明な方法を見つけ出す。
  • ・こんなことがすっと続くだろうか?
  • ・どこも同じ状況なのだろうか?
  • ・自分のせいなのだろうか?

 

明確性(Clarity)

見えていなかった様相を明らかにして、置かれた状況を理解できるようにする能力で、それまで存在に気付かなかった問題を突き止める能力

相手に自分の申し出を明確に理解してもらうためのフレーム

  • 少ないというフレーム:利点が多すぎると、かえって難点に変化する。
  • 体験のフレーム:体験で販売をフレーミングすることが顧客の満足度を高め、リピート客につながりやすい。
  • レッテルのフレーム:ポジティブなレッテルを貼りつける。囚人のジレンマ
  • 傷によるフレーム:利点に関する情報の後に難点に関する情報を付け加えることで、肯定的な影響を与えられる。
  • 可能性のフレーム:達成した実績よりも達成する可能性の方が、不確実な分だけ興味を引きやすい。

「なぜ?」を5回問いかける。
その人のふるまいと姿勢の根底にある理由を検証できる。

「これの1%は?」と自問する。
質問の答えを他人に伝えられれば、強靭な精神力の証であり、相手は心を動かされる。

 

人を動かすために重要な能力

ピッチ

エレベーターピッチに代わる6つのテクニック、いつ、どのように用いるべきか

エレベーター・ピッチに代わる方法

  • 一言ピッチ:簡潔さを極限まで推し進める。
  • 質問型ピッチ:同意する理由を聞き手が思いつくように促す。
  • 押韻型ピッチ:人の思考を円滑に進みやすくし、刺激を理解しやすくする。
  • メールの件名ピッチ:メールの内容を事前に示して保証する。
  • ツイッター・ピッチ:受け手を巻き込み、対話を促進する。
  • ピクサー・ピッチ:ピクサー映画のストリーのように展開する。

ピッチが成功するかどうかは、ピッチャーと同じくらいキャッチャー(役員)にかかっている。

成功を収めるピッチでは、キャッチャーから承諾を引き出すまで、ピッチャーは自分のアイデアを押し付けない。むしろ、キャッチャーを協力者として味方に引き入れる。

ピッチの目的は、

  • ・必ずしも自分のアイデアをすぐに採用してもらうところまで人を動かすことではない。
  • ・説得力あるアイデアを提示して対話を生み出し、相手を参加者として巻き込んで、最終的に双方の興味に訴える成果に到達させることにもある。

 

即興

失敗を避けられなかった場合に、どのように対処すれば説明力を高められるか

即興劇の重要なルール

  • ・オファーを聞く
  • ・「はい、それで」と言う
  • ・パートナーを引き立たせる

 

奉仕

通常のセールスも売らないセールスも、最終的な目的はサービスであるが、商売の域を超えて、他人の人生を向上させることや世界を向上させることにある。

人を動かすことによって生まれる最大の効果は、単なるリソースの交換以上に大きく、継続的なものである。

可能性を高める根本的な教訓

  • 人間味をもたせる
    人間という要素をないがしろにして、抽象化し距離を置く傾向があるが、むしろ具体的で人間味をもたせる手法に立ち返るべきである。

    人間味を持たせる価値観には、自分が奉仕する人物を認識することと、自分が売ろうとしているものの背後に自分自身を一人の人間として捉えることである。
  • 目的をもたせる
    目的を掲げることが、人を動かすために最も効力がある。

    誰もが、「向社会的」「自己超越的」といった理由でも行動し、自分自身が奉仕するにとどまらず、他の人たちに内在する奉仕したいという欲求も活用する。

人間味をもたせる究極的な方法は、「自分のお祖母さんと思って」全ての人と接することである。

 

IT化が進んだ現在、インターネットやソーシャルメディアなどを通して、多くの情報を収集・確認することができます。

商品やサービスに関する詳細や固有の技術などは、専門に取り扱っている売り手の方が情報を多く持っていますが、一般的な技術動向や他との比較などの情報に関しては、買い手の方が情報を多く持っている傾向にあります。

今や、「情報の非対称性」はなくなってきています。

さらに、「顧客志向」と言いながら、結局は自社の利害を優先させている販売行為が見受けられる場合もあます。

四半期及び半期単位で業績を評価されている立場(売り手)では、仕方ないのかもしれません。

しかし、短期的な売上(利益)を得ることはできるかもしれませんが、リピート及び中長期的な関係構築には至りません。

「理想」と「現実」、「短期業績」と「持続的発展」、「顧客にとっての価値」と「自社の利害追求」など

ビジネスリーダーの方々には、日々決断を迫られていることと思います。

 

また、実際に商品やサービスを販売する業に就いている人以外でも、相手の理解を得たり、相手の協力を得たりする行為は、ほとんどの人が日々行っていると思います。

その意味においては、誰もがセールスパーソンであると言えます。

 

本書では、情報の非対称性に乗じて「相手を丸め込む」のではなく、「心から人を動かす」原則について、そのための能力やテクニックが詳しく解説されていますので、全ての方々に参考になりそうです。

 

本書のキーワード

人を動かす原則 = 同調、浮揚力、明確性

能力 = ピッチ、即興、奉仕

「共感(感情的反応)」よりも、「視点取得(認知的能力)」の方が効果的

人を動かすことに長けている人たちの共通点 = 謙虚さ
心の知能指数(EQ)が高いが感情に流されない。好奇心旺盛で他人の思考の中心にまで達する質問を繰り返す。

 

参考

DANIEL H.PINK(著者のホームページ)

内向性と外向性診断(DANIEL H.PINKサイト内)

ポジティビティ自己診断(Barbara Fredricksonウェブサイト)

 

関連する書籍

書籍 ワーク・シフト(WORK SHIFT) 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図<2025>/リンダ・グラットン(著)
2012年9月24日 当ブログ

2025年を想定し、未来を形づくる「5つの要因(32の要素)」と仕事の世界で必要となる資本を切り口に「3つのシフト」について、詳細に解説している書籍です。
本書「人を動かす、新たな3原則」は、この「3つのシフト」に向けた新しい時代の売り方に通じるものがあります。

 

 

201307103_2

人を動かす、新たな3原則 売らないセールスで、誰もが成功する!

ダニエル・ピンク(著), 神田 昌典(翻訳)
出版社:講談社(2013/7/4)
Amazon.co.jp:人を動かす、新たな3原則

 

 

にほんブログ村 経営ブログ コンサルタントへ follow us in feedly RSSリーダーで購読する

 

 

« 国内電機の2013年度第1四半期決算と通期予想、ソニー、パナソニック、三菱電機、シャープ | トップページ | 書籍 ネットからリアルへ O2O(オー・トゥー・オー)の衝撃/岩田昭男(著) »

8.書籍全体」カテゴリの記事

 8-5 社会、資格、啓発 他」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/90991/58037164

この記事へのトラックバック一覧です: 書籍 人を動かす、新たな3原則 売らないセールスで、誰もが成功する!/ダニエル・ピンク(著):

» 【医療者はわが国の財産】日本の医療この人が動かす [ぱふぅ家のサイバー小物]
医療というのはサービス産業ではなくて、絶対に必要な財産(121ページより) [続きを読む]

« 国内電機の2013年度第1四半期決算と通期予想、ソニー、パナソニック、三菱電機、シャープ | トップページ | 書籍 ネットからリアルへ O2O(オー・トゥー・オー)の衝撃/岩田昭男(著) »

フォト
2017年3月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  

Blog内記事




  • follow us in feedly フィード購読 にほんブログ村 経営ブログ コンサルタントへ

  • このエントリーをはてなブックマークに追加




最近のコメント

――――――――――――