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2013/07/29

書籍 虚構のアベノミクス 株価は上がったが、給料は上がらない/野口 悠紀雄(著)

虚構のアベノミクス 株価は上がったが、給料は上がらない

野口 悠紀雄(著)
出版社:ダイヤモンド社(2013/7/5)
Amazon.co.jp:虚構のアベノミクス

 

20130710

金利高騰、株と円が乱効果高下・・・
綻び始めた経済政策をただちに転換せよ!

リアルな経済はマネーでは改善できない。
アベノミクスの真実を明らかにし、日本を救うための本当の成長戦略を示す。

 

本書は、早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授の著者が、安倍晋三内閣の経済政策の課題について、今回も鋭く切り崩した一冊です。

先日の参議院選挙では自由民主党が圧勝しました。

アベノミクスへの期待の表れかと思いますが、本書ではかなり厳しい評価をしています。

第二次安倍内閣が成立して約7ヶ月で成果を評価するには時期尚早かもしれませんが、今後の政策動向を見ていくうえでの視点を示唆し、私たち自身が「どのように対応していくべきなのか」を考えるきっかけとなる一冊です。

資産価値バブルが膨張する過程で、実体経済には影響が及ばなかった。
むしろ、賃金の低下と設備投資の減少が続いた。輸出量も円安によって増加することはなかった。
つまり、「資産価値上昇を用いて人々の期待を好転させ、それによって実体経済の活性化を図る」というアベノミクスの思惑は、実現しなかったわけだ。

 

本書は、「週刊ダイヤモンド」とダイヤモンド・オンラインに連載された内容を、改めて体系立てして整理された一冊です。

アベノミクスの「三本の矢」についての課題と対応策について、今回も鋭く解き明かしています。

「金融政策」や「財政政策」には様々な問題を引き起こすとし、「成長戦略」こそが重要であると指摘しています。

また、「金融政策」や「財政政策」は一時的なものと位置付け、経済再生や持続的な経済成長の実現のためには、「成長戦略」が本来の政策としています。

 

成長戦略で政府がなすべき役割

1.新しい企業の成長が邪魔されないように環境を整える。

  • ・具体的には、規制緩和であり、エコカー補助金や雇用調整助成金といった従来型保護政策から脱却する。
  • ・そこで重要となるのは、企業のビジネスモデルの変革と人材育成である。

2.注目を集める個別政策を揃えるのではなく、全体の方向性を整合的に明らかにする。

  • ・方向付けに当たっては、これまで日本が長期的停滞に陥った原因を分析する。
  • ・抽象的な表現ではなく、できる限り定量的に示す。

3.雇用を確保し、所得を増大させるためには、特に農地保有の自由化や就業者が増加している医療や介護分野の制約を撤廃する。さらに、大規模な産業構造の改革を実施する。

4.新しい産業となりうる可能性を秘めた分野に対し、大掛かりな制度改革を実施し、人材を育成する。

 

日本復活の条件

1.復活のために、古いものを捨て去る。

  • ・現実の世界では、古いものに利益を見出す人が多く、古いものを残そうとする政治的な圧力が働く。
  • ・古いものを捨てるのは痛みを伴うが、それを経由しないと復活への展望は開けない。

2.新しいものを生み出すための規制緩和を実施する。

  • ・規制緩和によって新しい活力を生み出すことが可能で、そのためには経済が本来持っている活力を解放する。

3.人材開国によって、外国人を受け入れる。

  • ・総人口の減少ではなく年齢構成の変化が重要であり、その解決法は外国人労働者の受け入れと移民を増やすことである。

 

経済改革への取り組みを、これで終わりにする必要はない。規制緩和はこれからも引き続き追求すべき重要な課題である。
そうした地道な努力が積み重ねられて初めて、安倍内閣の経済政策は、「虚」から「実」へと脱皮することができるだろう。

安倍内閣の経済政策が本当に内容のあるものか、それとも見かけ倒しのものかという判断は、成長戦略によってなされることになる。

 

内閣が掲げた「三本の矢」

特に「成長戦略」については、その内容を理解し、実態に沿わない部分は軌道修正を提案し、そして実現に向けて努力することが、私たちに課せられた責任でもあります。

本書は、「アベノミクス」の全体を俯瞰することができ、その意味するところや課題、そして私たち自身の「あり方」について、多くを示唆してくれる一冊でした。

 

目次

第1章 異次元金融緩和で金融市場が混乱
第2章 実体経済は改善しない
第3章 円安下で拡大する貿易赤字
第4章 実態を伴わない企業利益
第5章 国債暴落と金利高騰の危険
第6章 既得権を保護して成長はありえない
第7章 ビジネスモデルの抜本改革が必要
第8章 人材育成が最も重要な成長戦略
終章 投機に翻弄される日本経済

 

アベノミクスの「三本の矢」

1.大胆な金融政策:デフレマインドを一掃

2.機動的な財政政策:湿った経済を発火

3.新たな成長戦略(日本再興戦略)
企業や国民の自信を回復し、「期待」を「行動」へ変える

 ↓

10年間の平均で名目GDP成長率3%程度、実質2%程度の実現を目指す。
これにより、1当たり名目国民所得(GNI)を10年後に150万円以上拡大させる。

 

1.大胆な金融政策

  • ・2%のインフレ目標
  • ・無制限の量的緩和
  • ・円高の是正
  • ・日本銀行法改正

2.機動的な財政政策

  • ・大規模な公共投資(国土強靱化)
  • ・日本銀行の買いオペレーションを通じた建設国債の買い入れ・長期保有

3.新たな成長戦略(日本再興戦略)

  • ・成長への筋道
    民間の力を最大限引き出す
    全員参加・世界で勝てる人材を育てる
    新たなフロンティアを創り出す
  • ・アクションプラン
    「日本産業再興プラン」:産業基盤を強化
    「戦略市場創造プラン」:課題をバネに新たな市場を創造
    「国際展開戦略」:拡大する国際市場を獲得

 

参考

新たな成長戦略 ~「日本再興戦略-JAPAN is BACK-」を策定!~
平成25年6月19日、首相官邸

「日本再興戦略-JAPAN is BACK-」
平成25年6月14日、日本経済再生本部

 

著者関連

野口悠紀雄「日銀が引き金を引く日本崩壊」
DIAMONDO online

 

関連書籍(当ブログ)

書籍 製造業が日本を滅ぼす 貿易赤字時代を生き抜く経済学
2012年5月10日

書籍 日本を破滅から救うための経済学
2010年8月11日

 

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野口 悠紀雄(著)
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