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2013/05/17

書籍 経営は何をすべきか(WHAT MATTERS NOW)/ゲイリー・ハメル(著)

経営は何をすべきか(WHAT MATTERS NOW)

ゲイリー・ハメル(著)、有賀 裕子(翻訳)
出版社:ダイヤモンド社(2013/2/22)
Amazon.co.jp:経営は何をすべきか

 

20130517

生き残るための5つの課題

容赦ない変化、熾烈な競争、飽くなきイノベーションを特徴とする世界を勝ち抜く組織を築くための、多面的な課題

ウォール・ストリート・ジャーナル誌が選ぶ世界ナンバー1経営思想家の最新作

 

本書は、ロンドン・ビジネススクール客員教授であり、ベストセラー『コア・コンピタンス』の著者でもあるゲイリー・ハメル氏が、20世紀型マネジメントの問題を指摘しながら管理型マネジメントの終焉を断言し、激動のこの時代を生き残るために必要な「5つの課題」に絞って未来への指針を示した一冊です。

金融危機とその余波、デジタル・ネイティブ世代の台頭、SNSの興隆など、近年の動向の中で、より高い次元を目指して未来を切り開くために経営がすべきことを説いています。

本書は、「自分が属する組織や今後の運命を決定づける、根本的な課題」として5つ(理念、イノベーション、適応力、情熱、イデオロギー)をあげて5部構成とし、それぞれ5つの視点合計25の章で構成されています。

リーダーシップ、チーム、イノベーションに渡り幅広いテーマでボリュームがありますが、5つの課題はそれぞれ独立していますので、自分が課題と感じている部分から読み進めていくことができます。

また、著者が国内外で接したエピソードを交えながら、平易な表現で綴られていますので、非常に読みやすくなっています。

なお、出てくる企業事例は日本にはなじみがない企業ですが、著者の具体的な解説に加えインタビュー表現で記述されていますので、事例企業の取り組みを詳細に理解できます。

  • ・「アップルのアップルたるゆえんは、特定の戦略や人物によるものではない」として、アップル経営の真髄を詳細に解き明かしています。
  • ・階層も肩書も設けない企業事例として「W・I・ゴア」を紹介し、イノベーションを繰り返して50年以上黒字を続けている要因として、リーダーや社員の取り組みを解説しています。
  • ・マネージャー職を置かない企業事例として「モーニング・スター」を紹介し、全体の統制をとりながら高い収益性を確保している要因を探っています。
  • ・最終章では、これからの時代のマネジメント(重要な道のり)として、マネジメントの専門家と共に抽出した25の課題を6つのテーマに分類・整理しています。
    組織の脱官僚化を図り、社員の能力を解き放つうえで役に立ちそうです。

 

 

理念

  • ・自由市場経済には過剰がつきものであるが、強欲な銀行家や節操のないCEOは、自己本位の無責任に陥っているように見える。
  • ・これらは、公正な世界では資本主義を冒涜した行為である。
  • この傾向を逆戻りさせるためには、企業倫理を立て直す必要がある。

 

イノベーション

  • ・グローバル経済では、花形の製品や戦略はたちどころに模倣される。
  • 強烈な勢いでイノベーションを続けない限り、成功は束の間で終わってしまう。
    にもかかわらず、イノベーションを全員の日々の業務として位置づける企業は、100社中1社に満たない。
  • 長期的な価値を生み出すための持続的な戦略は、イノベーションの実現以外にない。

 

適応力

  • 変化の激しい環境では、戦略を刷新するペースを上げなければならない。
  • ・危機をきっかけに変革するのは、後手に回り、大きな痛みを伴い、コストもかさむ。
  • ・業界のリーディング企業が一夜にして傾きかねない状況では、繁栄を保つには自己改革を続けていく以外に道はない。

 

情熱

  • イノベーションと変革への意思は情熱から生まれる。
  • ・普通の職場では、興味関心や活気は育たない。
    ありふれた目標、階層組織のせいで、仕事への意欲は削がれてしまう。
  • 人生と同じくビジネスの世界でも、「退屈な」と「素晴らしい」の違いは情熱の有無にある。

 

イデオロギー

  • ・適応力、革新性、活気、高潔さなどの点で、組織が中で働く人々より劣って見える原因は、管理を絶対視するマネジメント・イデオロギーにある。
  • 経済価値を創出するのは、誰も予想しなかったような素晴らしい製品、風変わりな魅力を持ったメディアキャンペーン、全く新し顧客体験である。
    しかし、管理至上主義のもとでは、高い独自性や方破りなものは弾き出される。
  • ・管理至上主義に代わる考え方は、「よりよい業務プロセス」と「よりよいビジネスモデル」だけでは足りず、「よりよい事業原則」が求められる。

 

 

「マネジメント2.0」を実現するための重要な道のり

1.志を改める

課題1.経営陣がより次元の高い目的を果たす

課題2.コミュニティ重視の姿勢や企業市民としての自覚を、マネジメントに深く根付かせる

課題3.人々の心をつかむ言葉と慣行を用いる

2.能力を解き放つ

課題4.信頼関係を深め、不安を和らげる

課題5.管理手段を刷新する

課題6.想像力を解き放つ

課題7.多様性を高め、活用する

課題8.情熱溢れる組織をつくる

課題9.仕事を楽しいものにする

3.再生を促す

課題10.参加型の手法を用いて組織の方向性を決める

課題11.戦略立案プロセスを改め、創発を促す

課題12.組織の脱構築と分解

課題13.アイデア、才能、経営資源の社内市場を設ける

4.権限を分散させる

課題14.意思決定から政治を排除する

課題15.自然発生的で柔軟な階層制を築く

課題16.社員の裁量の幅を広げる

課題17.リーダー層の仕事を問い直す

課題18.情報をできるだけ広く共有する

課題19.反対意見を奨励する

5.調和を追求する

課題20.全体を俯瞰する業績尺度を設ける

課題21.二者択一を乗り越える

課題22.大局観のもと、長い将来を見据えてマネジメントを行う

6.発想を変える

課題23.右脳を強化する

課題24.社内外両方の力を動員できるよう、新たなマネジメント手法を考案する

課題25.マネジメントの哲学的土台を再構築する

 

いまかつてなく重要になってくるのは、みなさんが自分の前提を疑い、慢心を捨て、信条を問い直し、高い目標を掲げること、そして他者にもこれらを促すことである。
これからの時代にふさわしい組織の創造に向けて何をしなくてはならないかは、おおむね判明している。
唯一の問いは、「誰が先頭に立ち、誰がその後に続くか」である。
何より重要なのは、この問いに皆さんがどう答えるかだ。

 

本書の指摘の大部分は、多くの方々が常々考えていることでしょうが、現実の職場ではジレンマを感じている方も多いのではないでしょうか。

企業内には様々なトレードオフがありますが、「二者択一」ではなく「両方を実現する」ヒントが本書の随所にあります。

現在の企業制度や文化などの変革は無理とあきらめるのではなく、「自分から、そして自分の周りから変えていこう」という勇気が湧いてくる一冊でした。

 

 

参考

Management Innovation eXchange
マネジメントの再発明を目指す世界初のオープン・イノベーション・プロジェクト

 

 

 

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