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2012/12/20

書籍 BEソーシャル! 社員と顧客に愛される5つのシフト/斉藤 徹(著)

BEソーシャル! 社員と顧客に愛される5つのシフト

斉藤 徹(著)
出版社:日本経済新聞出版社(2012/11/13)
Amazon.co.jp:BEソーシャル! 社員と顧客に愛される5つのシフト

 

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世界は透明になり、ソーシャルシフトする。
社員・顧客・社会に愛される企業のあり方は、日本経済の原点「三方よし」に通じる。
透明性の時代に「あるべき企業像」と「インサイド・アウト」による改革の道標を示すビジネスパーソン必須の書。

 

本著は、ソーシャルメディアのビジネス活用コンサルティング事業を幅広く展開している(株)ループス・コミュニケーションの代表取締役社長である著者が、ソーシャルシフトしていく今こそ企業に求められる姿を、豊富な企業事例を紹介しながら解き明かした一冊です。

前著『ソーシャルシフト』ではソーシャルメディアによる企業の変革の必要性を論じていたのに対し、本書では透明な時代となった現在における「あるべき企業像」を明確にして、その実現のための具体的な方策を解説しています。

 

 

「DOソーシャル」から「BEソーシャル」へ

今、企業がすべきことは、ソーシャルメディアを利用して生活者の言動をコントロールすることではなく、人々に共感されるように企業自身を変えていくことだ。
ソーシャルメディアを活用する「DOソーシャル」から、企業自身がソーシャルメディアに溶け込む「BEソーシャル」のステージへ。
やがて、世界はソーシャルシフトしていく。


タイトルの『BEソーシャル!』とは、「ソーシャルである」ということを意味していますが、本書は近年のIT動向やツールを紹介した書籍ではありません。

消費者に不誠実な企業行動や不適切なプロモーションなどをしても、ソーシャルメディアが浸透してしる現在の市場では、その実態がすぐに明らかになりまります。

そこで本書では、主に以下の事項を詳細に解説しています。

  • ・今こそ、企業に求められているのは「透明性」「誠実さ」の姿勢であり、そのための「あるべき企業像」を明確にしています。
  • ・社員との絆、顧客との絆、パートナーや地域生活者との絆を深め、生活者からの共感を創造する企業のあり方、そして共感創造の源泉を解き明かしています。
  • ・さらに、「あるべき企業像」に変革していくためのステップ、生き残る企業に共通する価値観を整理しています。

 

企業のトップや事業推進リーダーの方々にとっては、ソーシャルメディア時代の特性についての理解を深め、自社を確認・改革するうえで大いに参考になります。

また、経営やマーケティング、組織やマネジメントなどに関する理論も、現代のITトレンド及びその事例と結び付けて解りやすく整理されていますので、その分野の知識を深めることにも役立ちます。

 

ソーシャルシフトの3基軸

「ソーシャルシフト」とは、ソーシャルメディアが誘起するビジネスのパラダイムシフトであり、その根底にあるのは「人のつながり」による事業環境の劇的な変化。

 

1.顧客エンゲージメント

  • ・イノベーションレベル:製品サービス
  • ・つながり優位性:顧客との絆を深め、個のレベルでおもてなしをする。
  • ・革新の視点:様々な顧客接点(特に属人的な顧客接点)において、自社独特の価値を提供する。

 

2.パートナー・コラボレーション

  • ・イノベーションレベル:ビジネスモデル
  • ・つながり優位性:パートナーとの戦略連携でイノベーションを創発する。
  • ・革新の視点:垂直統合型バリューチェーンで独自の価値を創造し、地域コミュニティと共生する。

 

3.社員エンパワーメント

  • ・イノベーションレベル:経営管理
  • ・つながり優位性:社内で価値観を共有し、現場に権限を大胆に委譲する。
  • ・革新の視点:社員の意欲を喚起し、気持ちよく協働できる職場環境を構築するとともに、迅速かつ適切な意思決定ができる仕組みを構築する。

 

 

インサイド・アウトとは(『7つの習慣』、スティーブン・R・コヴィー)

自分自身の内面(インサイド)を変えることから始めるということであり、自分自身の根本的なパラダイム、人格、動機などを変えることから始めるということである。

 

企業の「あるべき姿」を実現するためのパラダイムシフト

インサイド・アウトの概念を個人から企業に拡大し、ソーシャルシフトを構成するレイヤーを体系化(内から外に向けた順)

 

1.理念:規律から自律へ

  • ・ブランド哲学:ミッション、ビジョン、コアバリューで構成された企業経営の根幹
  • ・ミッション、ビジョン、コアバリュー
    持続可能な存在意義として「ミッション」を創業者や経営者が練り上げ、未来へ導く羅針盤として「ビジョン」を経営陣が創り、組織としての共通価値観として「コアバリュー」を全社参加型で創り上げる。

 

2.組織:統制から透明へ

  • ・社員協働メカニズム:情報共有やコミュニケーションのためのプラットフォーム
  • ・ソーシャルシフトの3基軸「社員エンパワーメント」に対応
  • ・社員協働のピラミッド(マズローの5段階欲求がベース)
    報酬(生存)→適正な労働環境と雇用に対する安心感(安全)→チームワークと情報共有(所属と愛)→意見尊重と褒める文化(承認と尊重)→フロー体験(自己実現)

 

3.事業:競争から共創へ

  • ・ビジネスモデル:パートナー協業によるバリューチェーンを基礎とした事業戦略と収益構造の仕組み
  • ・ソーシャルシフトの3基軸「パートナー・コラボレーション」に対応
  • ・ビジネスモデルの策定
    外部環境(SWOT分析)と顧客ニーズ(顧客経験価値のピラミッド)を分析し、自社のコアバリュー(バリューチェーン)と照らし合わせて検討

 

4.価値:機能から情緒へ

  • ・顧客経験価値:機能や品質といった商品やサービスそのものの価値を超えて、商品サービスの購入や使用から得られる経験そのものの価値
  • ・ソーシャルシフトの3基軸「顧客エンゲージメント」に対応
  • ・テクノロジーの進化とともに高度化したチャネル
    シングルチャネル→マルチチャネル→クロスチャネル→オムニチャネル

 

5.目標:利益から持続へ

  • ・事業成果:顧客が価値への対価を支払うことによって創出
  • ・バランススコアカード(BSC)の仕組みを活用
    4つのレイヤーそれぞれの進捗や成果を可視化し、全社でオープンに共有(自律的に意思決定し、行動することが目的)

 

 

未来型組織

  • ・透明の力:上司からの統制ではなく、顧客や同僚との信頼関係に基づく
  • ・社内を透明にし、コミュニケーションを活性化させることで相互評価が生まれ、社員は自ずと企業やチームにとってプラスとなるように動き出す。
  • ・経営者の役割
    「透明の力」を活用し、ポジティブサイクルをつくり出すために経営改革を実践する。

 

【未来型組織の特徴】

①トラスト:透明性、健全な社風による相互信頼の醸成
②コラボレーション:社員の自由闊達な交流、情報共有、共創を促す環境
③チーム:小さな自立組織による顧客価値の創造
④ユニファイ:使命、価値観、目標共有によるチームの全社調和
⑤イノベーション:自律的に全社からイノベーションが孵化する仕組み
⑥フィードバック:バランスのとれた指標、ポジティブな相互評価

 

 

「三方よし」は個人と社会、「不易流行」は伝統と革新。
この対極を矛盾なく取り入れて、見事に調和させる文化。
これこそ、我々日本人の礎であり、誇りとすべきことではないだろうか。


 

本書では、古来から続く日本の経営姿勢を思い起こさせる言及が随所にあります。

  • ・本業を通じた社会貢献
  • ・社会的責任を説いた江戸時代の石田梅岩の思想
  • ・近江商人の「三方よし」
    「売り手よし、買い手よし、世間よし」という伝統的精神

これらの商道徳が、三井家や住友家及び三菱家にも引き継がれ、明治経済の立役者のひとりである渋沢栄一氏、昭和に入ってからの松下幸之助氏などに受け継がれて現代に至っています。

 

昔は、企業の行動は、当事者から口コミで広まり、市場で広まるまでには相応の時間を要しましたが、ソーシャルメディアが浸透してきている現代においては、良い情報も悪い情報も一瞬のうちに世界を駆け巡ります。

多くの企業が「透明」で「誠実な」経営をしているはずです。
しかし、自己の利害や短期的な利益を追求するあまり、生活者に背く振る舞いをしてしまう危険性もあります。

インターネットやソーシャルメディアが浸透してきた現在は、まさに「透明性の時代」と言えます。
個人に限らず企業においても、「透明であること」の重要性を再認識した一冊でした。

 

 

本書に関係するサイト

 

本書の一部を紹介しているサイト(ITmediaマーケティング)

 

著者がCEOを務めている企業:株式会社ループス・コミュニケーションズ

 

前著『ソーシャルシフト』 当ブログでのご紹介記事
斉藤 徹(著)、2011年11月11日、日本経済新聞出版社

 

 

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BEソーシャル! 社員と顧客に愛される5つのシフト

斉藤 徹(著)
出版社:日本経済新聞出版社(2012/11/13)
Amazon.co.jp:BEソーシャル! 社員と顧客に愛される5つのシフト

 

 

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