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2012/10/17

書籍 〔エッセンシャル版〕マイケル・ポーターの競争戦略/ジョアン・マグレッタ(著)

〔エッセンシャル版〕マイケル・ポーターの競争戦略

ジョアン・マグレッタ(著)、マイケル・ポーター(協力)、櫻井 祐子 (翻訳)
出版社:早川書房(2012/9/21)
Amazon.co.jp:〔エッセンシャル版〕マイケル・ポーターの競争戦略

 

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マイケル・ポーター教授が全面協力。必携のビジネス・ベーシック。

ポーターの競争戦略論をシンプルかつ十全に学べる〔エッセンシャル版〕

競争戦略、バリューチェーン、五つの競争要因、差別化、トレードオフ、適合性
 

企業の持続的な成功に不可欠な競争戦略のアイデアを豊富な事例と最新の理論にもとづいて解説。

本書は、経営コンサルティングファーム「ベイン・アンド・カンパニー」のパートナーを経て、『ハーバード・ビジネス・レビュー』の戦略担当編集者として1990年代初頭からマイケル・ポーター教授と数多くの仕事を共にしてきた著者が、ポーター教授の研究のエッセンス、特に「競争と競争優位」「戦略とは何か」について「解りやすく」「実践しやすい」形でまとめた一冊です。

 

ポーター教授の理論を詳細に理解したい方は、著書や論文などを読み込むことが必要ですが、まずは要旨を理解し、実践に向けたヒントを得たいビジネスリーダーの方々にとっては、本書は「悩んだときの指針書」として大変役立ちます。

特に巻末に、「ポーター教授とのQ&A」と「ポーターを読み解くための基本用語集」があるのも本書の特徴です。

  • ・近年の講演で、経営者から発せられた質問に対するポーター教授の解答は、理論及び本書をより理解し、実践に向けたヒントとなります。
  • ・基本用語集は、理論の出てくるキーワードを確認する上でも非常に便利です。

 

競争と競争優位

  • ・競争に勝つには、「『最高を目指す』のが一番である」という考えは間違いである。
    組織は独自性(ユニークな存在)を目指して競い合うことでこそ、卓越した業績を持続させることができる。
    →競合他社を打ち負かすことではなく、価値を創造することである。
  • ・競争とは、利益をめぐる広い意味での攻防であり、業界が生み出す価値の配分をめぐる駆け引きである。
    →売上をめぐる競合企業間の直接対決にとどまらない、より幅広いものである。
  • ・卓越した業績を生むためには、適切な分析が必要である。
    →分析手法:競争の舞台となる業界構造(五つの競争要因分析)と業界における相対的ポジション(競争優位とバリューチェーン)
  • ・「五つの競争要因分析」は、業界の業績と自社の業績について理解を深めるために使う。
    →価格とコスト、競争に必要な投資に影響を及ぼすため、「五つの競争要因」全体としての強さを把握することが大切である。

  • ・競争優位とは、競争の経済性と密接に関係しており、競合他社より高い収益性を持続させることである。
    →他社と異なるバリューチェーンをいかに構築し、業界平均を上回る業績を確保するかであり、時間もかかる。
    →自社の創造する価値(価値創造)と、それを創造する方法(バリューチェーン[価値連鎖])、そして業績(損益計算書)とのつながりを明確にする。
  • ・真の競争優位を持つ企業は、競合他社に比べて低いコストで事業を運営しているか、高い価格を課しているか、その両方かである。
    →企業が実行する活動の違いから生じる、相対的価格や相対的コストの違い

 

戦略

  • ・競争から身を守るための防御手段である。
  • ・高業績を持続的にもたらす優れた競争戦略のことである。
    →競争にさらされた組織が、「どうすれば卓越した業績を実現できるのか」の方法を決定する、一連の統合された選択である。
    →主体は企業全体ではなく、事業部門である。(これに対して企業戦略とは、複数の事業を有する多角経営企業のビジネスの進め方をいう)
  • ・主に以下の問題を投げかけることである。
    →「競合他社を上回る利益をあげるにはどうすればいいか」、「どうすれば卓越した収益を生み出せるのか」、「どうすれば優位を長期間持続させることができるか」
  • ・ビジネスモデルは、自社の収益とコストとの関係にスポットを当てているのに対し、戦略はさらにもう一歩踏み込んで、相対的価格と相対的コスト、その持続性という問題を考えることである。

 

五つの競争要因

①買い手の交渉力、②サプライヤーの交渉力、③代替品や代替サービスの脅威、④新規参入者の脅威、⑤既存企業同士の競争

「五つの競争要因」が収益性に与える影響

利益 = 価格 - コスト

価格低下に及ぼす要因:代替品、新規参入脅威、買い手の力、既存企業同士の競争
コスト増に及ぼす要因:サプライヤーの力、既存企業同士の競争

 

企業の業績を左右する要因:業界構造(五つの競争要因)、相対的なポジション(バリューチェーン)

  • 五つの競争要因
    (焦点)業界の収益性の決定要因、(わかること)平均的な価格とコスト
  • バリューチェー
    (焦点)活動における違い、(わかること)相対的な価格とコスト

 

優れた戦略の五つの条件

  • ・企業が自らの「1.価値提案」と「2.バリューチェーン」について行う一連の選択が競争優位をもたらす。
  • ・この選択が「3.トレードオフ」を伴う時、戦略は価値を増すとともに模倣しにくくなる。
  • ・「4.適合性」は、「価値増」と「模倣困難」の二つの効果をさらに高める増幅装置であり、戦略の競争優位を増幅させる。
  • ・「1.価値提案」「2.トレードオフ」「4.適合性」を実現するためには時間がかかり、「5.継続性」がなければ競争優位を生み出すことはできない。

1.独自の価値提案

  • ・自ら選んだ顧客層に特徴ある価値を適切な価格で提供しているか?
  • ・社外の顧客(ビジネスの需要サイド)に焦点を当て、ライバル企業と異なる価値を提案する。
    →①どの顧客を対象にし、②どのニーズを満たすのか。③相対的価格をどのように設定すれば、顧客に価値を提供しつつ、収益性を実現できるか。

2.特別に調整されたバリューチェーン

  • ・独自の価値提案を実現するのに最も適した一連の活動は、ライバル企業の行う活動と異なるだろうか?
  • ・戦略と競争優位の核心は活動にあり、他社と異なる活動を行うことである。

3.競合企業とは異なるトレードオフ

  • ・自社の価値を最も効率的、効果的に実現するために、「やらない」ことを明確に定めているか?
  • ・トレードオフは、戦略の要となる経済的かすがいである。
    →競合他社との価格やコストの差を生み出す重要な源泉であり、競合他社に戦略を模倣させにくくする。

4.バリューチェーン全体にわたる適合性

  • ・自社が行う活動は、互いに価値を高め合っているか?
  • ・適合性は単なる連携を超えて、競争優位を「増幅」させ、その持続性を高めるはたらきがある。
    →優れた戦略は多くのものごとのつながりで成り立ち、それには相互依存的な選択を行うことが欠かせない。

5.長期的な継続性

  • ・組織が得意なことに磨きをかけ、活動の調整、トレードオフ、適合性を促すことができる十分な安定性が、戦略の核にあるだろうか?
  • ・企業は変化しすぎる、または誤った方法で変化する。
    →真の競争優位を築くには、時間がかかる。
    →組織は戦略を継続することでこそ、適応力とイノベーション能力を高めることができる。

 

巻末「よくある質問:マイケル・ポーター インタビュー」
ポーター教授の講演の質疑応答セッションで、経営者から発せられた質問を参考に著者がインタビューした以下の質問に対し、ポーター教授自ら的確に答えてくれています。

1.よくある間違いと障害
企業が最も陥りやすい戦略上の間違い、優れた戦略をもてない理由と障害、資本市場が戦略に与える影響など

2.成長:機会と落とし穴
資本市場で戦略を損なわずに事業を成長させる対策、海外市場の攻略、成長するための手法が実行できない場合など

3.戦略とイノベーション
激変している業界をくくる意味、破壊的技術と戦略に対する考え方、ビジネスモデルを戦略との違い、新市場で新規事業を始める際の「五つの競争要因」分析など

4.魅力に乏しい業界、開発途上国、非営利組織
業界に魅力が乏しい場合、途上国で活動する企業にとって意味、非営利組織にとっての戦略など

5.組織を指揮する
戦略的思考と戦略立案の違い、組織全員に共通理解をもたせる対策など

 

古典とは、

誰もが読んでおけばよかったと思うが、誰も読みたいとは思わない。


ポーター教授をはじめとする各分野の「権威」と言われている方々の理論は、「原理原則であり一般的で実践的ではない」とか「古典的理論で現代には活用できない」などといった意見も聞くこともあります。

部分的には私も同感ですが、そこには活用側の問題もあると思っています

企業経営は各社各様であり、全ての企業にそのまま適用できる理論もないはずです。
活用側が課題解決に活用できるように理論を掘り下げ、「コンセプトやフレームワーク」を創意工夫して活用することが必要です。

一方、実務の中で独自の「コンセプトやフレームワーク」を作り上げてきた先輩方々もいらっしゃいます。

 

ポーター教授においても、医療分野における競争、環境政策、都市中心部の活性化、競争におけるローカルとグローバルの力学といった、その時代や状況に応じたテーマに理論を発展されています。

本書は、「競争や競争優位」と「戦略」というポーター教授の根幹研究のエッセンスがまとめられていますので、もう一度本質を理解し、実践で活用していくためのヒントを得ることができる一冊です。

 
 

参考

ハーバード・ビジネス・スクールの競争戦略研究所

Institute for Strategy and Competitiveness(ISC)

 

マイケル・ポーター教授の代表的な書籍

20121017

日本の競争戦略
マイケル・E. ポーター(著)、竹内 弘高(著)
出版社:ダイヤモンド社 (2000/04)
Amazon.co.jp:日本の競争戦略


 
 

201210172

競争戦略論〈2〉
マイケル・E. ポーター(著)、竹内 弘高(翻訳)
出版社:ダイヤモンド社 (1999/08)
Amazon.co.jp:競争戦略論〈2〉


 
 

201210171

競争戦略論〈1〉
マイケル・E. ポーター(著)、竹内 弘高(翻訳)
出版社:ダイヤモンド社 (1999/06)
Amazon.co.jp:競争戦略論〈1〉


 
 

20121017_2

競争の戦略
M.E. ポーター(著)、土岐 坤、服部 照夫、中辻 万治(翻訳)
出版社:ダイヤモンド社 新訂版 (1995/3/16)
Amazon.co.jp:競争の戦略

 
 
 
 
 
 

20121012

〔エッセンシャル版〕マイケル・ポーターの競争戦略

ジョアン・マグレッタ(著)、マイケル・ポーター(協力)、櫻井 祐子 (翻訳)
出版社:早川書房(2012/9/21)
Amazon.co.jp:〔エッセンシャル版〕マイケル・ポーターの競争戦略





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