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2012/05/27

書籍 Think Simple アップルを生みだす熱狂的哲学

Think Simple アップルを生みだす熱狂的哲学

ケン・シーガル(著)、林 信行(監修)、高橋 則明(翻訳)
出版社:NHK出版 (2012/5/23)

Amazon.co.jp:Think Simple アップルを生みだす熱狂的哲学

 

20120528think_simple

複雑に考えて仕事する自分を誇りに思っていないか?

ビジネスを成功へと導く10のシンプル哲学

「シンプルさ」は最強の武器
ビジネスの成功への鍵を誰もが模索している時代、そのヒントとなります。

 

かつては倒産寸前だったアップルに1997年復帰し、今や時価総額で世界一の企業にまで復活させたことでスティーブ・ジョブス氏が注目されています。
しかし、その陰には「伝説のクリエイティブ・ディレクター」としての著者の貢献が大きかったようです。

 

本書は、スティーブ・ジョブズ氏と12年共に働き、アップル「Think Different」キャンペーンに携わり、iMacを命名した著者が、アップルでのエピソードを紹介しながら、ビジネスやクリエイティブにおける「シンプル」哲学を解説した一冊です。

著者は、アップル倒産寸前から世界一企業への復活に貢献するとともに、IBMやインテル、デルなどのキャンペーンにも携わった経験を持ち、アップルと他企業との比較、アップルの過去と現在などの視点から、多くの示唆を与えてくれる一冊です。

 

アップルの哲学というと「シンプル」
多くの書籍などで紹介されていますので、ご存知の方々も多いと思います。

この「シンプル」哲学は、マーケティング、イノベーションの創出、組織の生産性向上、アイデアの実現、意思決定、社内や顧客とのコミュニケーションなど、すべてに貫かれています。

 

本書で紹介されている話は、マーケティングに関係するエピソードが大部分ですので、マーケティングに関わる方々には大変役立つものです。

また、全体を通して繰り返されているのは、

徹底して容赦なく「シンプル」を追求するにこと。そこで大事なのは、「どこまで徹底して追求するのか」という点

そのためにアップルが実践してきた、商品やサービスを創出する際の戦略やプロセス、成功の原動力となった熱狂的哲学や企業文化なども明らかにされていますので、ビジネスリーダーの方々にも経営ノウハウを学ぶことができます。

さらに、著者はスティーブ・ジョブス氏と直接仕事した方であるため、これまで他の書籍で明らかになっていないエピソードも満載で、アップルの史料としても読みごたえがあります。

 

本書巻末から引用(スティーブ・ジョブスの言葉)

シンプルであることは、複雑であることよりもむずかしい。
物事をシンプルにするためには、懸命に努力して思考を明瞭にしなければならないからだ。
だが、それだけの価値はある。
なぜなら、ひとたびそこに到達できれば、山をも動かせるからだ。


 

シンプルさは、

  • 「頭脳」と「常識」、ビジネスにおける最も強い二つの力の間に生まれる。
  • 単なる目標でなく、スキルである。第二の天性となるまでに自分のものにする。
  • 適当に見つくろえるものでなく、シンプルに関する理解やスキルが必要である。
 

1.Think Brutal:容赦なく伝える

  • 正直になり、出し渋らないこと。
  • 人を操ることに長けたり、意地悪になったりすることを求めない。
    自分のチームに最高の結果をもたらすために、ただ言うべきことを言う。
  • 良い内容でも悪い内容でも正直な意思疎通を基本とすれば、貴重な時間とエネルギーをムダにしないですむ。
 

2.Think Small:少人数で取り組む

  • 有能な少人数のグループという概念に忠誠を誓う。
  • 有能な少人数グループは、よりよい結果と高い効率性、士気の向上をもたらす。
  • 最終的な意思決定者が、きちんとした形で参加しないプロジェクトは疑う。
    リーダーは、プロセスがいいアイデアを促進するのではなく、殺そうとしているとき、それに気づく能力を持つべき。

    [少人数の法則:プロジェクトの成果の質]
    関わる人間の多さに反比例する。
    最終的な意思決定が関わる程度に比例する。

 

3.Think Minimal:ミニマルに徹する

  • 競争激しい世界では、良くも悪くもないという中庸では勝つことができない。
    群れから際立って、他に味わえない体験をユーザーに与えることが必要になる。

    [製品増殖]
    多くの企業は、全ての機会をとらえ、あらゆる顧客を満足させ、全ての取引を成立させようとする欲求を抑えられない。
  • 二つ以上のことを人に伝えようとすると、相手は注意が分散してしまう。
    複数のメッセージを伝える必要がある時には、共通項を見つけて強く主張する。
  • 大量の選択肢は、選択肢がないのと同じ。提案は絞れば絞るほど魅力的になる。
    選択肢をミニマム化することは、顧客にもっとシンプルな道とよりよい価値と、より幸せな気分を提供することである。

 

4.Think Motion:動かし続 ける

  • 偉大なことを成し遂げるには、計画と充分すぎない時間が必要である。
    ある程度のプレッシャーが目標に向けて物事を前進させる。
  • 時間が充分にあると、人は見直しをしたり、手を加えたり、再考したり、新たにメンバーを入れたり、よそから意見を求めたり、テストを実施したりする。
  • 現実的な高い目標を設定する。
    物事を動かし続けることによって、チームは適度な集中力を保てる。

 

5.Think Iconic:イメージを利用する

  • アイデアや、アイデアの精神を象徴するイメージを使うことで、自分の考えを具体化することができる。
  • 優れたイメージを見つけることと、パワーポイントを使ってプレゼンをきれいに飾ることとは全く違う。
  • 概念的イメージを使えば、会社やアイデア、製品を人々が判断しやすくなる。
    印象的なイメージは、言葉よりも効果的に情報を伝えることがある。

 

6.Think Phrasal:フレーズを決める

  • 言葉は強力だが、多ければ強力になるわけではない。わかりにくくなるだけ。
  • 知的な言葉を使ったからといって、必ずしも賢く見えるわけではない。
    スマートに見せる方法は、完璧な明快さでアイデアをシンプルに表現する。
  • シンプルで自然な名前が記憶に残りやすい。
    顧客に製品とのつながりを持ってほしければ、無理なく付き合える名前が必要。

 

7.Think Casual:カジュアルに話し合う

  • ヒエラルキー構造のないスタートアップのような運営をすれば、社員はより生産的になれる。スタートアップ企業の文化を維持する。
  • 型通りの会議や正式張ったプレゼンは情報伝達はできても、出席者を刺激したり、団結させたりすることはできない。
  • 創造的ですばらしいアイデアの多くは、カジュアルな打ち合わせから生まれる。

 

8.Think Human:人間を中心にする

  • 数字やスプレットシートの向こうを見る大胆さを持ち、自分の心に発言させる。
  • 無形のものも現実の指標だし、しばしば重要である。
  • あらゆるターゲットは人間であり、人間はシンプルなものに反応する。

 

9.Think Skeptic:不可能を疑う

  • 他人は、最初に否定的な反応をすると予想しておく。
    他人に反対されても、妥協してはいけない。
    自分のアイデアを実行することや、人に実行を求めることについて容赦しない。
  • 自分の独立性に誇りを持つ。全体の状況の中で、事実と意見を評価する。
    長期的目標など専門家の見方を超えた物事と照らしあわせて判断する。
  • 全体の状況を把握し、それに応じた決断を下す能力を持つ。

 

10.Think War:戦いを挑む

  • 非常時には非常手段が必要である。
  • 自分のアイデアの運命がかかっているとき、やってはいけないことはフェアな戦いである。
  • すべての武器を使う。
    自分のアイデアに対する自分の情熱が、最も強力な武器となりうる。


 

現在、様々な面で「複雑さ」があふれている中、「シンプルさ」を追求できれば目立つことができます。

しかし、ほとんどの企業は、プロセスが制度化していて、自分たちの行動が変えられないのが現実ではないでしょうか。

「シンプルさ」は概念であり、自分の仕事や会社全体の運営のあらゆる部分に対する物の見方です。

 

「シンプルさ」の本質を理解し、情熱を持つ。そして可能な限り、容赦なく取り組む。
そして、会議やグループミーティングなどで、「シンプルさ」を説き続けていくことにより、メンバーに「サンプルさ」が伝染します。

そうすれば、組織の中から動きが生まれてくるはずです。

 

最後に、以下に心当たりありませんでしょうか?

  1. 本音を隠して話す自分を、優しいと思っていないか?
    → Think Brutal:容赦なく伝える

  2. 大人数の会議に参加する自分を、偉いと思っていないか?
    → Think Small:少人数で取り組む

  3. いくつものメッセージを伝える自分を、親切だと思っていないか?
    → Think Minimal:ミニマルに徹する

  4. 余裕をもって仕事する自分を、理想的だと思っていないか?
    → Think Motion:動かし続ける

  5. 言葉を並べて説明する自分を、知的と思っていないか?
    → Think Iconic:イメージを利用する

  6. 難しい言葉を駆使する自分を、出来るヤツと思っていないか?
    → Think Phrasal:フレーズを決める

  7. 教科書どおりのプレゼンをした自分を、完璧と思っていないか?
    → Think Casual:カジュアルに話し合う

  8. 数字やデータで判断する自分を、頭脳明晰と思っていないか?
    → Think Human:人間を中心にする

  9. NO!と言われてあきらめた自分を、素直だと思っていないか?
    → Think Skeptic:不可能を疑う

  10. 戦うことを嫌う自分を、大人と思っていないか?
    → Think War:戦いを挑む
 

参考

・Think Different:YouTube(英語)

 

Apple CM Think different:YouTube(日本語)

 

本書の公式サイト(NHK出版)

試し読み(PDF 1.63MB)

 

当グログでご紹介した記事

アップルに関する書籍

・2012.4.10 インサイド・アップル Inside Apple

・2011.11.4 スティーブ・ジョブズⅡ

・2011.10.25 スティーブ・ジョブズⅠ

 

ビジネス創出に関する最近の書籍

・2012.4.21 リーン・スタートアップ(Lean Startup)

・2012.4.13 小さく賭けろ! 世界を変えた人と組織の成功の秘密

 
 

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コメント

コメントありがとうございます。

「シンプルさ」を追求するプロセスを醸成するためには、大きな変革が必要と思います。
企業では、長い歴史の中で、それぞれの業務プロセスが構築され、組織が大きくなるにつれて調整する人が増えていく。

特に国内企業では、調整型のプロセスの中で、関係者の意見を取り入れ、結果的に複雑な製品ができてしまう。

内向き思考ではなく市場に向けた製品開発のためには、業務プロセスだけではなく、企業としての取組み姿勢を変革することが必要と思います。

今後とも、忌憚のないコメントをお願い申し上げます。

いつも拝読しています。

日本の製品は、多くの機能を詰め込み過ぎ。これがガラパゴスと言われる所以の一つですね。
「シンプルさ」は、製品という結果を見ると多くの人には目新しくはないかもしれませんが、そこに至るまでには莫大な努力が必要ですね。

私も開発部門にいますが、新たな機能や操作性など、いつも悩んでいます。

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