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2012/02/29

書籍 新しいPRの教科書

20120224pr

新しいPRの教科書 ソーシャル時代に求められる「知」と「技」

ブライアン・ソリス、ディアドレ・ブレーケンリッジ(著)、
花塚恵 (翻訳)
出版社:海と月社 (2011/3/28)

Amazon.co.jp:新しいPRの教科書


 

「売り込み」から「対話へ」
ソーシャルメディア時代に取るべきPRの新戦略とは?

もっときめ細やかに、もっと創造的に、もっとインパクトのあるPRを目指す人へ
第一人者が具体的事例とともに徹底指南

あなたはブランドや商品そのものだ。
「あなた」というキーワードがあらゆるものを結びつけ、自分だけでなく、自分が関係するものすべてを代弁するのだ。

ソーシャルメディアが普及し、とうとうPRに「Public」を戻せるチャンスが訪れた。
まずは内側から変わらなければならない。

本書は、
・シリコンバレーを拠点とするPR会社の代表であり、ソーシャルメディアを生かした
 PR(PR2.0)をいち早く提唱したブライアン・ソリス氏
・マーケティングコミュニケーション会社の代表であり、ブランド向上などの戦略、
 大学でPRに関する講義をしているディアドレ・ブレーケンリッジ

両氏が、本来のPRのあるべき姿、ソーシャル時代におけるPR、ブログやSNS及びツイッターなどをPRにつなげる方法、さらには強力なPRの実現と効果測定方法について言及した一冊です。

本書のテーマからすると、マーケティングなどの専門用語が多いい分野に加え、ソーシャルメディアという新しいサービス分野にもかかわらず、分かりやすい表現で記述されていますので大変読みやすく、著者の想いが理解できます。
これまでの訳書と同様、訳者の貢献も大きいと感じました。

近年、ソーシャルメディアをはじめとした様々なPR媒体がある中で、PR業界の方に加え、企業内でPR活動を担当している方には、今だからこそPRの本質(原点回帰)について考える際に参考になります。

また以前、当ブログでも取り上げましたが、PR(public relations)と広告は違うと私は考えています。

「ソーシャルメディアを活用すれば売上が上がる」などといったセミナーやコンサルティングをしている方、そして安易にソーシャルメディアを活用している方にこそ、本書を読んで、自らの活動さらにはPRに対する志を改めて考えていくべきではないでしょうか。

本書の最終章「新時代を拓く」からの引用

オンラインと現実世界の両方で、人々との関係を築いて育んでいく。
そのためには、相互に価値やメリットがなければならない。
ソーシャル化した社会では、人間関係が「通貨」となる。

企業のコミュニケーションは変わらなければならない。
これからは、コミュニケーションを通じて人々に対する賞賛、尊敬、感謝の気持ちを明確に態度で表そう。
揺るぎない信念を持ってソーシャル化の知識とスキルを提供していこう。
そうして、人々にとって価値ある存在になろう。

著者の想いは、この文書につきるのではないかと思います。
人とのコミュニケーション(交流)という意味においては、オンラインと現社会とでは大きな違いはなく、ソーシャルメディアにおいても実社会と同様の行動が必要です。 

PRの常識が変わった。
新たなチャネルの使い方を学べば、自分も影響力を及ぼす側になれる。

・参加することで、マーケティングできる。
・参加することで、ブランディングできる。
・参加することで、影響力を生み出せる。

そこで、PR業界に求められる姿勢を、

・「今のPRのどこが悪いのか?」ではなく、
・「変化の激しいこの時代に、PRの効果を高めるためにできることはないか?」
 であるとしています。

 

理想のPR担当者

・市場に精通している。
・広い見識を持ち、社会とのつながりを上手に保てる「対話の達人」である。
・対話の達人は、話し上手であると同時に聞き上手でもある。

 

ソーシャルメディアの普及に伴って、PRは以下のような流れに変わった。

・PRは、コミュニケーション、熱心なファン、ウェブマーケティングを融合したもの
 に進化しようとしている。
・「売り込むこと」から「個々と誠実に向き合うこと」へと変わった。

・PR → 既存メディア → 顧客
 PR → 新しいインフルエンサー → 顧客
 PR → 顧客
 顧客 → PR

 

PR2.0は、PRの原点である「人々との関係構築」に回帰する。
これからのPR活動の中心は、「人」である。

PR2.0の基本的な階層

一番上の階層:資産(消費者が作成したメディア:コメント、ブログ、画像など)
真ん中の階層:場所(共同で何かをする場所:投票、コメント、購読、評価など)
一番下の階層:ツール(ウィキ、ブログ、タグ、インスタントメッセージなど)

 

ツール過信は禁物

・ソーシャルメディアを成り立たせているのは人間であり、テクノロジーではない。
・人とツールの関係は、きちんと認識しておく必要がある。
・すでに存在しているツールも、これから登場するツールも、
 ソーシャルツールは、すべて「対話に参加するための手段」にすぎない。
・誠実な態度で対話に加わり、有意義な情報を提供し、相互にメリットが生まれて
 こそ、そこに人間関係が生まれる。

 

企業ブログで人々とのつながりが生まれる公式

コミュニティ形成
=(更新頻度の高さ + 質の高さ + 対応の良さ + 読者の視点)× 利害関係者

 

マーケティング戦略の見直し

・ウェブの定着性、訪問者数、クリック数ばかりに注目していた日々は終わった。
 透明性、対話、エンゲージメント、関係性、紹介された数、行動に注目する時代に
 なった。
・ソーシャルメディアマーケティング
 ソーシャルツールを使って、一般の人々が主体のコミュニケーションに参加する。
・カンバセーショナルマーケティング
 市場は対話であるという考え方に基づいた活動である。

これまでのマーケティングでは、デモグラフィック属性(性別や階級や年齢)とターゲット市場にフォーカスしていたが、
ソーシャル化を意識した企業は、サイコグラフィックスも取り入れ始めている。
興味(Interest)、動向(Attitude)、意見(Opinion)
→ 個性、価値観、動向、興味、ライフスタイルに関係する要素を観察して分類する。

 

コミュニケーションモデル

誰が(Who)、何を(Says what)、どうやって(In which channel)、誰に向かって言い(To whom)、どんな結果が生まれるか(To what effect)

それから誰が(Then who)、何を聞き(Hears what)、誰が何を(Who shares what)、何の目的で共有し(With what intent)、どんな成果が生まれるか(To what effect)

 

ソーシャルメディアの監視ややりとりは、企業の全部署が責任をもって行うもの。
今後、PRは「マーケティング」ではなく、カスタマーサービスの一環として活動するケースが増えていく。

コミュニティマネージャーに必要な要素[ジェレマイア・オーヤング]

・コミュニティの一員として対等な関係を築こうとする姿勢
・自社製品の良さや最新情報を伝えようとする姿勢
・コミュニケーションスキル(記事を書く能力)を磨く
・コミュニティで得た情報を、今後の製品やサービスに活かそうとする姿勢

 

ソーシャルメディアを活用したPR活動のROIや成否の測定視点

キーワードを含む会話やスレッド、トラフィック、売上げ、コールトゥアクション(行動喚起)、エンゲージメント(顧客との結びつき)、ネット上の人間関係、影響力、社内教育と参加、イメージ、登録・コミュニティでの活動

 

会話に参加すまでの基本的な流れ

①観察する:コミュニティとその文化を観察する
②耳を傾ける:自社ブランドに関係する会話を探して関心を向ける
③特定する:自社ブランドに関係する会話が露出するコミュニティなどを特定する
④学ぶ:寄せられた意見や会話を詳細に分析して学ぶ
⑤社内で情報を共有する:入手した情報を社内の適切な部署に伝達する
⑥処理する:製品やサービスに、改善点や変更の必要がないか確認する
⑦参加する:顧客やコミュニティなどと、つながりを築く(オンラインと実社会両方)
⑧フィードバックや意見を提供する:有益な情報を積極的に提供する

⑨繰り返す:①~⑧を継続して行う

 

本書では、著者の考察の他に、著名なジャーナリストや有識者及びブロガーの方々の記事も引用しながら、PRに当たっての重要な示唆を与えてくれています。
特に参考になったテーマの一部を以下にあげておきます。

・P47 PR業界の仕事術[著者、ブライアン・ソリス]
・P52 ジャーナリストの倫理規定[職業ジャーナリスト協会(SPJ)]
・P62 ブログの倫理規定[シャーリーン・リー(2004年,フォレスター・リサーチ社コンサル)]
・P64 情報開示に関する討論[クリス・ハウアー(2006年,ソーシャルメディアクラブ)]
・P114 プレスリリースの書き方[著者、ブライアン・ソリス(2007年)]
・P142 動画が企業経営にもたらすメリット[ジェレマイア・オーヤング]
・P258 ブロガー交流をはかる際のマナー[クチコミマーケティング協会(WOMMA)]

 

なお本書の目次と概要につきましては、出版社の有限会社 海と月社に紹介されていますので、参照ください。

 

参考

・目次と概要:有限会社 海と月社

職業ジャーナリスト協会(SPJ)

クチコミマーケティング協会(WOMMA)

 

参考:当ブログ記事

・本書に関連する訳者の書籍

 2012. 1. 5 「習慣で買う」のつくり方

 2010. 6. 1 WOMマーケティング入門

 

・その他関連する書籍

 2011.12. 1 ソーシャルシフト

  2011. 1.27 ザッポス伝説 ← 本書の推薦者 ザッポスCEOトニー・シェイの著書

  2010.12.30 デジタル・リーダーシップ

 

・2011.12.24 ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)のビジネス活用
        ポイントは目的と体制と成果検証、企業としての戦略や取り組み姿勢

 
 

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新しいPRの教科書 ソーシャル時代に求められる「知」と「技」
ブライアン・ソリス、ディアドレ・ブレーケンリッジ(著)、花塚恵 (翻訳)
出版社:海と月社 (2011/3/28)
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