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2011/12/28

書籍 カテゴリー・イノベーション

20111228

カテゴリー・イノベーション
ブランド・レレバンスで戦わずして勝つ

デービッド・A.アーカー(著)、阿久津 聡(翻訳)、電通ブランド・クリエーション・センター(翻訳)
出版社:日本経済新聞出版社(2011/11/25)

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ライバルの出る幕をなくせ!

イノベーションで、既存カテゴリーの魅力をなくす新カテゴリーを創出し、それを代表するブランドになる。
競争の激しい市場で、競争をせずに事業を成長させる唯一無二の新戦略論。

本書は、カルフォルニア大学バークレー校ハース経営大学院名誉教授であり、ブランド研究に関する世界的な権威であるデービッド・A.アーカー(David A.Aaker)博士が、競合相手に勝負をあきらめさせる圧倒的に優位なブランディング「ブランド・レレバンス(Brand Relevance)戦略」を説いた一冊です。

レレバンス」とは、関連性、適切さ、妥当性などと訳され、商品やサービスについて消費者が思い浮かべるカテゴリーのイメージと、そのブランドの関連性の高さを表す概念です。

従来の「ブランド選好性(Brand Preference)」ではなく「ブランド・レレバンス(Brand Relevance)」を高め、そのために「カテゴリー・イノベーション」を実行する。

「ブランド・レレバンス」という概念の解説から始まり、カテゴリーまたはサブカテゴリーの形成から維持・管理、参入障壁の構築と差別化、それらを支える組織など、全体プロセスについて詳細に記述されています。
特に、一般に知られているグローバルブランドに加え、日本のビール業界など、20余りの事例を紹介しながら解説されていますので、理解しやすい内容となっています。

マーケティングやブランドを担当する方や研究者に限らず、商品開発を担当する方、起業家にとっても、バイブルとなる一冊です。

 

本書でも事例として紹介されていますが、
例えばPCというカテゴリーを想定すると、そこには多くのブランドが存在しています。
そこにアップル社が、i-PadでタブレットPCという新たなカテゴリーを形成しましたが、タブレットPCというカテゴリーを思い浮かべる前にi-Padをイメージしてしまう方も多いと思います。
この状態が、i-Padの「ブランド・レレバンス」が高いということになります。

そして、iTunesやApp Store、iCloud、さらに直営店舗などで、参入障壁を築き、確固たる地位を確保しています。

このようなカテゴリーを形成できれば、企業は多くの利益を獲得できるのは概念的に理解できるものの、これらを生み出す「本格的または変革的」イノベーションが実現できる企業は限られているのも事実です。

しかし、本書で論じているように、
・顧客のニーズや好みの変化、技術的な進歩、競合企業の行動などを適時把握し、
・競合よりも先に、タイミングよく市場に投入する。

イノベーションの困難さと不確実性を、組織が積極的に管理することが、レレバンスを高める。そのための「カテゴリー・イノベーション」戦略の重要性と具体的なプロセスを示した一冊です。


 

既存市場で競争する方法は、以下の2つがあるとしています。
 ①ブランド選好モデル:消費者に選ばれるブランドになる。
 ②ブランド・レレバンスモデル:競合他社の市場の関連性を失わせる。

従来の「ブランド戦略」論では、
カテゴリー内候補ブランドの中から特定ブランドを選び、そのブランドを使用経験する。
 ・その過程において「ブランド選好性」を高め、
  定着したカテゴリーまたはサブカテゴリーを購入する顧客の承認とロイヤルティ
  が得られるような製品を開発し、マーケティング施策を打ち、
 ・そのカテゴリー内の競合よりも選ばれるブランドになることを論じてきました。

これに対し、本書では、
購入決定と使用経験に対する見方を変えるような新しいカテゴリーまたはサブカテゴリーを形成する。
カテゴリーを思い浮かべ、そこで検討すべきブランドを選ぶ。
 ・そのためには、「ブランド・レレバンス」を高めることが重要であり、
 ・そのための戦略こそが「カテゴリー・イノベーション」で、ブランド戦略の要で
  あるとし、その結果として苛烈なブランド選好競争から逃れ「戦わずして勝つ」
  ことができるとしています。

 

◇ブランドが選ばれるステップ

 ①カテゴリー(サブカテゴリー)を選ぶ[課題:存在感、イメージ、態度を管理]
 ②検討するブランドをいくつか選ぶ[課題:ブランドの存在感や活力を維持]
 ③検討グループからブランドを選ぶ[課題:差別化、ロイヤルティ向上]
 ④使用経験[課題:期待に応える使用経験]

 ①~②の範囲:ブランド・レレバンス
 ③~④の範囲:ブランド選好

 

◇イノベーションの程度

 変革的(破壊的)イノベーション:市場を一変させるもの
 本格的イノベーション:新しいカテゴリーあるいはサブカテゴリーを定義するもの
 漸進的イノベーション:ブランド選好に対する顕著なインパクトを与えるもの

 必ずしも技術的に画期的であるということによって判断されるものではなく、
 市場がどの程度影響を受けたか、カテゴリーまたはサブカテゴリーが形成されたか
 どうかに基づいて判断されるべき。

 

◇カテゴリーまたはサブカテゴリー形成に成功するための課題(ステップ)

 ①コンセプトの創出 →満たされていないニーズ、組織のクリエイティビティ
 ②コンセプトの評価 →コンセプトの将来性と企業の実現能力を正確に評価
 ③カテゴリーまたはサブカテゴリーを定義し、管理する
 ④競合に対する参入障壁をつくる

【コンセプトの創出に役立つアプローチや方法】
 ・顧客から聞いた満たされていないニーズ
 ・エスノグラフィ調査
 ・観察
 ・意図していなかった用途
 ・顧客と組む
 ・顧客以外の消費者
 ・市場トレンド
 ・グローバルリバースイノベーション
 ・オープンイノベーション
 ・ロールモデル(模倣例)
 ・他社の製品、サービス
 ・技術
 ・企業の資産と能力
 ・カテゴリーあるいはサブカテゴリーの定義

【コンセプト評価の側面】
 ・市場はあるのか
 ・競争し、勝つことができるか
 ・市場トップの座を長く守れるか

【カテゴリーまたはサブカテゴリーの定義】
 ・機能ベネフィット
  特徴/ベネフィット、ベネフィットの組み合わせ、機能設計、魅力的なデザイン、
  トータルシステムとしてのベネフィット、顧客参加型、セグメントのレレバンス、
  顧客との親密さ、お買い得な/高級な製品やサービス、次世代、用途、領域拡大
 ・製品を超えた顧客とブランドの関係
  共通の関心、パーソナリティ、組織の価値観や文化、こだわり、社会貢献

【競合に対する参入障壁の構築】
 ・投資障壁:テクノロジー、能力、事業規模、ブランドエクイティ、ロイヤルティ
 ・ベネフィットの独占:正統性、信頼性、動く標的、ブランドイノベーション
 ・顧客との関係性:ブランドを豊かにする、顧客参加、ブランドの活性化
 ・ブランドをカテゴリーあるいはサブカテゴリーと結び付ける:ブランド想起

 

◇カテゴリーあるいはサブカテゴリーのレレバンスへの脅威に応える戦略

 ・原点に戻ってやるべきことをやる
 ・ブランドのリポジショニング(再ブランド化)
 ・競合相手とパリティ(対等)になる
 ・競合のイノベーションを飛び越す

 

◇イノベーションを支える組織

 ・選別的機会主義 →起業家的文化、外部志向、事業部間連携、戦略選別プロセス
 ・戦略への動的なコミットメント →リーダーシップ、こだわり、継続的改善
 ・組織全体の資源配分 →資源入手の明確化、信頼できるチーム

 
 

なお本書は、『Brand Relevance Making Competitors irrelevant』(Jossey-Bass,2011)の翻訳です。

「ブランド・レレバンス」の概念は、前著『Brand Portfolio Strategy』(FREE PRESS, 2004)[邦訳『ブランド・ポートフォリオ戦略』阿久津聡訳,ダイヤモンド社,2005年)]で紹介されていますが、本書は実践書としての位置づけで読むことができます。


 

【目次】

 第1章 ブランド・レレバンス
 第2章 「ブランド・レレバンス」を理解する
 第3章 ケース・小売業界のカテゴリー・イノベーション
 第4章 新しいコンセプトを見つけ出す
 第5章 コンセプトの評価
 第6章 カテゴリーあるいはサブカテゴリーを定義し、管理する
 第7章 参入障壁を構築し、差別化を持続させる
 第8章 激動する市場でのレレバンスを維持する
 第9章 カテゴリー・イノベーションを支える組織とは

 
 

20111228_2

ブランド・ポートフォリオ戦略
デイビッド・A.アーカー(著)、阿久津 聡(翻訳)
ダイヤモンド社(2005/7/15)

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20111228_3

カテゴリー・イノベーション ブランド・レレバンスで戦わずして勝つ
デービッド・A.アーカー(著)、阿久津 聡、電通ブランド・クリエーション・センター(翻訳)
日本経済新聞出版社(2011/11/25)

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