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2010/05/13

クラウド IT業界再編の可能性あり

20100507 
IT業界にとってのクラウド事業-補足-

前述の「IT業界にとってのクラウド事業」では、IT業界側の視点で「いわゆる生き残りの選択肢」を考えました。

 
ここでは、IT業界にとっての脅威について、中長期視点で考えてみます。

IT業界では、過去「メイフレーム → クライアント・サーバー → オープン」と3つの大きな波があり、国内ITベンダーは波が来るたびに淘汰されてきました。
さらに今回の「クラウドの波」は、IT業界を根底から再編する可能性があり、既存のベンダーが淘汰され、新たなベンダーの出現が予期されます。

しかし、今回のクラウドの波を楽観視しているITベンダーもあるのではないでしょうか?

例えば

□国内のユーザー企業は、これまでと同様
 ・業務の特殊性を意識するあまり、標準化されたシステムには移行しない。
 ・過去からのシステム資産を尊重し、自社個別システムは残る。
 (業務を標準化したり、システムを移行する投資余裕がない事情もある?)
 ・開発から運用までの信頼性を重視し、ベンダーの手厚いサポートに頼る。

 という傾向は大きく変わらないので、
 「クラウドの波」が来ても、IT業界の構造には大きな影響はない。

□またクラウドは、「IT環境の最適化を実現するための手段のひとつ」
 と考えると、IT業界のビジネスモデルまでを揺るがすものではない。

様々な意見がありそうです。
一方「クラウド」という新語で、IT投資の活性化を狙っている傾向もあるかもしれません。

しかし、これから「クラウドの波」が大きくなった時に、自分達の危機に気付くITベンダーも多く出る気がしています。

「クラウドの波」、IT業界にとっての脅威は、以下に整理できます。

 
脅威1:IT業界にも「破壊的イノベーション」が起こる。
    ・個人向けや基幹業務外システムで蓄積されたサービス基盤技術の
     サービスレベルが向上し、企業向け基幹業務システムへも展開される。
    ・モジュール化されたサービスを組み合わせることで、企業業務の大部
     分がシステム化できるようになる。

脅威2:ユーザー企業は賢くなった。
     ベンダーは、もう囲い込みができない。

    ・既存のサポートベンダーがよく言う
    「他社システムを利用すると、稼動を保証できない」脅しは通用しない。
    ・サービスの選択権がユーザー企業側に移り、業務単位でサービスを
     都度利用するようになる。
    (実質は難しいが、都度他のサービスに乗り換えることもできる)

脅威3:ITサービスの収益モデルが変わる。
     所有から利用へ。利用した量だけ。

    ・これまでの「ハード+システム開発+保守」のビジネスは終焉する。
     クラウド連携や強みの業務の個別開発は、ノウハウのあるベンダーに
     集約される。これまでの請負型ビジネスはなくなる。
    ・ユーザー企業のシステムの大部分が、使用量に応じた料金をクラウド
     プロバイダーに直接支払い、後はユーザー企業内のハードとシステム
     開発の支援ビジネスが一部残るのみ

脅威4:クラウドへの参入障壁が下がり、新規参入が激しくなる。
     その先は、生き残りをかけた消耗戦へと突入する。
    ・データーセンター集中管理形式のHaaSやPaaS上に、小規模
     ベンダーやユーザ企業もSaaSを構築し、外販するようになる。
    ・業務システムも一般ECサイト状態となる。しかもグローバル化する。

脅威5:特に大手既存ベンダーは、クラウドへの展開が遅れる。
    ・既存の導入型パッケージはシングルテナント型では提供できるが、
     SaaSマルチテナント型にするには再構築が必要となる。
    ・既存の導入型顧客や販売チャネルを尊重するため、クラウドの
     ダイレクトビジネスに踏み切れない。

 
全てが現実のものとはならないかもしれませんが、「クラウドの波」は大きく、対応が遅れたITベンダーは淘汰されることになるでしょう。
 

主要な基幹業務向けSaaS一覧 Part04【出典:IT Leaders】
 

【主要ベンダーの国内展開概要】

日本アイ・ビー・エム株式会社
・クラウドのターゲットエリアやサービスを体系化
・大手企業を中心としたプライベートクラウドを展開

富士通株式会社
・データセンターでのアウトソーシングを核としたクラウドサービス体系
・「プライベートSaaS」も用意、個別対応重視
・サービス事業対応の人材育成への取組みも開始

株式会社日立製作所
・社会インフラと同等の信頼性確保を目指したクラウド構想
・これまでのシステム構築のノウハウを活かしてプライベートクラウドを推進
・独自の仮想化ソフトを使用して基盤の信頼性を向上

日本電気株式会社
・基幹システムを中心とした「クラウド指向サービスプラットフォームソリューション」
・SAPをクラウド基盤で再構築し、基幹システム対応を推進
・業務プロセス改革を含め、クラウド利用の拡大を促進

株式会社NTTデータ
・SI事業の一環としてクラウドサービスの提供
・総合的なクラウドサービスブランド「BizCloud」を発表

日商エレクトロニクス株式会社
・M&Aやアライアンスによりサービス事業に進出
・パートナーとの協業により、海外のサービス展開も計画

日本ユニシス株式会社
・「ICTホスティング」を主体にクラウド事業を推進
・プラットフォームやマーケットプレイスを提供
・品質と価格の両面で、競争力のあるサービスを目指す

日立ソフトウェアエンジニアリング株式会社
・自社構築の経験を元に、クラウド事業へ参入
・マルチテナントによる低コストとセキュリティを両立
・セールスフォース事業は日本郵政の事業を推進

富士ソフト株式会社
・Google Apps の大手ユーザにしてパートナー企業
・クラウド事業全体の中でのGoogle Apps事業

株式会社セールスフォース・ドットコム
・SaaSのトップベンダー
・PaaS事業を拡大 官公庁でも実績

グーグル株式会社
・Google Appsで企業向け市場攻略
・PaaS、Google App Engine

マイクロソフト株式会社
・「ソフトウェア+サービス」のハイブリッドモデルを推進
・クラウドOS「Windows Azure」

 
IT業界の今後 

  ≫ IT業界にとってのクラウド事業
      ≫ 選択1:自らクラウド事業者(プロバイダー)になる。
      ≫ 選択2:クラウドのサプライヤーになる。
      ≫ 選択3:市場から撤退する(せざるを得ない)

      ≫ 補足:クラウド IT業界再編の可能性あり

 

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